岩手県 -Iwateken-




 岩手県は北東北にある人外魔境の地です。岩手は化け物どもの巣窟と化しており、また寒さも厳しいため、定住はもとより観光すら不可能な状態となっています。


   【県民性】

 岩手県民は人間ではありません。古くから、妖怪、化け物、怪物などと呼ばれ恐れられてきた、妖(あやかし)たちがその正体です。日本書紀では、岩手県民をこのように記述しています。

日本武尊曰:「蝦夷是尤強焉,男女交居,父子無別.冬則宿穴,夏則住樔,衣毛飲血,昆弟相疑.登山如飛禽,行草如走獸.承恩則忘,見怨必報」

(訳:日本武尊いわく:「岩手県民は最も強く、男女が一緒に住み、親子の区別も無い。冬は穴に住み、夏はやぐらに住み、毛皮を着て血を飲み、兄弟で疑いあう。猛禽類のように山を登り、獣のように草原を走る。受けた恩はすぐ忘れ、怨みには必ず報いる」

 ですが、これは昔の人々が闇雲に岩手県民を恐れ、彼らの正体を確認しないまま、ひとくくりにその特徴をまとめた記述に過ぎません。現在では岩手県民は学術的に細分化され区別されています。以下に、中でも特に有名な岩手県民の種類を挙げておきます。


『河童』

 岩手県民の中でも最もポピュラーなのが河童です。河童とは、川の中に住む泳ぎが得意な岩手県民を指します。彼らは頭に皿を乗せ、亀のような甲羅を背負っており、観光客を川の中に引きずりこんで溺死させる大変危険な県民です。その多くはカッパ淵と呼ばれる場所に棲息しています。また、その容姿や特徴から滋賀県人の亜種ではないかとも考えられています。


『鬼』

 岩手県の名前の由来ともなった、これまたポピュラーな岩手県民です。「岩手」という県名は、鬼が岩に手形を残したことに由来しています。鬼とは、頭に角を生やした、全身赤色(もしくは青色)の岩手県民の総称であり、虎の毛皮を腰に巻き、突起の付いた金棒を振り回す蛮族ですので、絶対に近づいてはいけません。


『山姥』

 山姥とは、老女の姿をした岩手県民で、訪れた観光客などを喰らう恐ろしい県民です。はじめは観光客に宿を貸してもてなしますが、寝ている間に取って喰らうと言われています。岩手県内のホテル・旅館・民宿などは、全て山姥が経営していると考えて間違いありません。


『土蜘蛛』

 
土蜘蛛は巨大な蜘蛛の姿をした岩手県民です。一時期、都民の間では「土蜘蛛とは妖怪変化の類ではなく、まつろわぬものたち(大和朝廷に従わない先住民たち)への蔑称ではないか」という説もありましたが、現在では否定されています。強靭な糸で絡めとり、人を生きたまま喰らう恐ろしい県民ですので、決して近づかないようにしましょう。


 以上に挙げたのが代表的な岩手県民です。この他にも種々様々な県民が岩手県内で暮らしており、人外魔境を形成しています。不幸にも岩手県に迷い込んでしまい、命からがら脱出した民俗学者の柳田國男は、著書「遠野物語」の中で岩手での恐怖体験を400件以上報告しています。しかし、柳田のように生きて帰れたのは幸運なケースであり、ほとんどの観光客は岩手で命を落とします。岩手観光で命を落とすことを、かつては「神隠し」と呼んでいました。

 なお、このようなおぞましき岩手県民たちを統べる長が、岩手県知事アテルイであり、県民たちは尊敬の念を込めて悪路王と呼んでいます。アテルイはアメリカ合衆国妖怪大統領であるバックベアードからも一目置かれる実力者です。


  【注意点】

 岩手県の観光は大変危険です。岩手県に関しては「ここに気をつけておけば安全」というものはありません。一番安全なことは岩手県に踏み入らないことです。魑魅魍魎が跋扈する魔境岩手は、私たち人間にとっては地獄にも等しい場所です。いえ、それどころか、かねてより信じられてきた「地獄」の存在は、この岩手を指すという説さえあるのです。

 観光客が岩手県民に捕まってしまった場合、たとえば、どのような責め苦を受けるのでしょうか。岩手県で最も悪名高い地獄が「わんこそば地獄」です。これは山姥が観光客に延々と蕎麦を食わせ続けるという責め苦であり、観光客が「もう食べたくない」と悲鳴を上げても、容赦なくおかわりを椀に放り込んできます。フタを閉じればそれ以上おかわりを入れられないのですが、山姥は凄まじいスピードと力で強引に蕎麦を椀に放り込むため、実際はフタを閉じることなどできません。観光客はいずれ過食により胃袋が破裂して絶命します。

 この「わんこそば地獄」は、生前(岩手県入り前)に大食の罪を犯したものが受ける地獄です。大食はキリスト教では七つの大罪に数えられ、Gluttony(暴食)と呼ばれています。映画「セブン」では、七つの大罪に見立てた連続猟奇殺人が行われますが、過食により死亡した第一の犠牲者の描写は、このわんこそば地獄をモデルにしたと言われています。
(上:七つの大罪の一つ)

 では、生前に善行を積んでおけば問題ないのでしょうか。そんなことはありません。日本書紀にも「捕らえた人間を使って農業や養蚕をする」と書かれている通り、地獄落ちを免れても奴隷にされてしまうのです。つまり、悪ければ地獄行き、良くても岩手県民の奴隷なのです。捕らえられた観光客の中には「このまま岩手県民に弄ばれるくらいなら、いっそ」と入水自殺を図る人も多くいます。岩手県にある浄土ヶ浜は入水自殺の名所ですが、観光客が極楽浄土を期して身を沈めることから、こう名付けられました。




  【今後の対策】

 岩手を妖怪どもの手から取り戻し、私たち人類のものとすることは、かねてより都民の念願でした。しかし、岩手県入植には二つの難関が立ちはだかります。一つは先住民たる岩手県民どもの存在であり、もう一つは過酷な自然環境です。極北の地岩手は、北海道同様、人間が住むような場所ではありません。大地は一年中凍りつき、風吹は日々荒れ狂っていたのです。当然農作物も一切育ちません。妖怪ならともかく、かよわい人間には定住は不可能だったのです。

 これに対し、東京都は岩手県の環境改造に乗り出します。限定的なテラ・フォーミング(人類の住める地にするための改造)計画です。具体的には、火山を人工的に噴火させることにより、火山灰とガスを大気中に打ち出し、温室効果による気温の上昇を図ったのです。この計画は火山局の技師であるグスコーブドリの尽力により成功し、現代ではある程度の農作が可能になるところまで気温も上昇して、環境的には都民の入植も可能となっています。
(上:岩手改造に尽力したグスコーブドリ)

 ですが、環境的には入植も可能になったものの、依然として岩手県民の脅威は残されたままです。おぞましき岩手県民たちがいる限り、私たち都民は岩手を人類の手に取り戻すことはできないのです。東京都は幾度となく岩手に武力攻勢をかけましたが、常にアテルイ率いる妖怪軍団に退けられてきました。しかし、このたび、帝国陸軍中尉、加藤保憲の血を引く坂上田村麻呂将軍により、かつてない大規模な岩手侵攻が行われることになりました。妖怪軍団の猛反撃が予想されますが、坂上将軍ならば必ずアテルイ征討を果たしてくれるものと信じています。

 なお、坂上将軍は志願兵を募っています。東京都民、もしくは読み書きのできる千葉県民、埼玉県民ならば、誰でも志願することができます。みなさんも岩手を私たちの手に取り戻すため、悪の権化であるアテルイ征討のため、坂上将軍と一緒に戦いませんか! 正義は私たちにあります! 最後の一兵卒になるまで命をかけて戦いましょう! 撃ちてし止まむ! 撃ちてし止まむ!


(上:志願兵募集のポスター)


 なお、来るべき岩手県民と私たち人間の戦いに備え、戦意高揚のために作られた映画が「妖怪大戦争」です。この映画では、坂上将軍の祖父にあたる加藤保憲中尉が岩手県民どもをばったばったとなぎ倒します。必ず見るようにして下さい。


【観光難易度 ★★★★★




トップページに戻る