横浜県 -Yokohamaken-




 地理的にも東京に近く、文明らしき文明を持ち、漁業を中心として太古の昔からこの地で平和に暮らしてきた横浜県人たちでしたが、それもペリー提督が現われるまでの話です。現在の横浜県はアメリカ人と中国人による覇権争いの渦中にあり、土地を追われた横浜県人たちは近くの離島でひっそりと独自の信仰を守りながら暮らしています。


   【歴史】

 かつての横浜県は漁業を中心とした経済活動に支えられ、独自の文化圏として栄えていました。横浜県の船乗りたちはオスの三毛猫を船の守護神と考えており、そこから猫神信仰が発達し、彼らは独自の宗教概念の下に結束して生活していました。そんなある時、大陸から仏教・道教を伝えるべく、中国人のあるグループが渡来してきます。宗教的摩擦が懸念されましたが、当時の中国人たちは鎌倉に建てた大きな仏像の中で大人しく生活し、現地の横浜県人たちとも仲良く共存していました。横浜県人と中国人の蜜月関係は長きに渡り、この頃の横浜県は、両者にとって最も幸せな期間でした。

 しかし、1853年。アメリカからペリー提督が入港することで事態は一変します。ペリー提督の狙いはキリスト教の布教でした。アメリカ人たちは横浜県横須賀市に捕鯨基地を作り、そこを拠点として熱烈な布教活動を開始します。これに慌てたのが中国人たちです。かねてより現地住民との融和を図りながら、少しずつ自国の宗教を布教させていた彼らは、アメリカのラジカルな布教態度に憤慨します。そして、中国人たちは大仏を捨てて外へと飛び出し、道教のシンボルである関帝廟を中心にコミューン(中華街)を作り、アメリカの宗教支配に対抗しました。横浜県の覇権を巡る両者の宗教戦争は、時代と共に次第に激しさを増していきます。

 これの煽りを喰らったのが、古くより横浜の地に住む横浜県人たちです。外国人同士の抗争に耐え切れなくなった彼らは猫神に祈祷を捧げます。すると、一匹の猫が湘南海岸から海を見上げて「ニャア」と鳴きました。その先には、引き潮の時のみ地続きとなる離島「江ノ島」があり、その日はまさに引き潮であったのです。横浜県人たちは、これを猫神のお告げと考え、猫たちと共に江ノ島へと移り住みました。そのため、現在の横浜県にはアメリカ人と中国人しかおらず、横浜県人たちは猫と共に江ノ島で暮らしているのです。


(上:江ノ島。引き潮の時のみ上陸できます。《ユネスコ世界遺産》)


  【県民性】

 アメリカ人と中国人の抗争から土地を捨てて逃げ出したことからも分かるとおり、横浜県人には気弱な人間が多いです。しかし、他宗教への理解があるなど寛容な面もあります。おそらく、大都会東京を目の前にして身の程を知り、謙虚さを学んできたためでしょう。中国人も一時はアメリカ人との対決に加熱していましたが、小康状態にある現在では大人しいものです。この両者に関しては、現在ではあまり心配する必要はないでしょう。


 しかし、問題はアメリカ人、特に若いアメリカ人たちです。彼らは「ヤンキー」と呼ばれ、若さに任せて理不尽に暴れまわります。彼らの多くは横浜県の私立聖蘭高校(通称「乱校」)に通っており、学内でもヤンキー同士でしばしば揉め事を起こします。横浜県でリーゼントに金髪の若いアメリカ人を見かけた場合、決して近付かないようにしましょう。特に"Moryo Takemar"と呼ばれるアメリカ人とは一切コミュニケーションがとれません。気をつけて下さい。

(上:Moryo Takemar. 会話になりません)

 また、ヤンキーの特徴として、彼らはオリエンタリズムに憧れを抱いているため、無意味に日本の漢字を多用する傾向があります。そして、彼らは二輪車を乗り回し、中国人や横浜県人に対し示威行為を行います。その際にはアメリカの代表的音楽である「ゴッドファーザーのテーマ」を奏でるのが一般的です。


  【観光名所】

「鎌倉の大仏」

 遥か昔、中国から渡ってきた渡来人たちが起居していた生活施設です。中は空洞となっており、中に数十世帯ずつがグループを作って住んでいました。仏教の威光をもって外敵から身を守るための一種の集合住宅であり、客家の土楼に似た中国独自の習俗です。

 しかし、中国人が中華街を作ってからは打ち捨てられ、現在は荒れるがままとなっています。盗人や強盗犯などがアジトに使うことも多く、治安は決して良くありません。かつて、あのアルセーヌ・ルパンが「黄金仮面」に扮して日本で犯罪活動を行った際も、拠点となったのはやはりこの鎌倉の大仏でした。犯罪者の巣窟であり、近付くのは危険ですので、遠くから眺めるだけにしておきましょう。

(上:鎌倉の大仏)


「横浜外国人墓地」

 ここには来航以降、中国人との戦いで死傷したアメリカ人たちが眠っています。写真に溢れる十字架の数からも当時の戦闘の激しさが伺えます。血気盛んなヤンキーたちも英霊の墓を前にしては敬虔な態度で故人を偲び、「“不運”(ハードラック)と“踊”(ダンス)っちまったんだよ 」などと哀悼の意を示します。

(上:横浜外国人墓地)


「赤レンガ倉庫」

 ここにはアメリカ人による鯨の解体施設があります。正式名称は「新港埠頭保税倉庫」ですが、鯨の血で辺り一面が真っ赤に染まっているため、俗に「血の赤レンガ倉庫」などと呼ばれています。

 アメリカ人はキリスト教伝来のために来航したと言われていますが、同時に捕鯨も大きな目的でした。というのも、キリスト教ではヨナという男性が海難事故に遭った際、鯨の腹に飲まれながらも三日後に助かったという言い伝えがあり、そこからアメリカ人たちは「海難事故で行方不明者が出た場合、鯨の腹を割けばよい」と信じているからです。彼らは鯨を捕らえては腹を割き、中に行方不明者がいないことを知って落胆しては鯨油だけ絞って肉を捨てます。

 一方、中国人たちは鯨を見ると奪い合う程に鯨肉が好きなので、アメリカ人の捨てた鯨肉を拾って食べようとします。ですが、キリスト教では鯨は聖獣であるため、アメリカ人たちは鯨食を非難し、「鯨は油を絞って捨てるものだ」と言い張り譲りません。ここでもまた両者の溝は深まっていったのです。


(上:キリスト教では海難遭難者は鯨の体内から発見されると説いています)


「湘南海岸」

 夏になると多くの都民が押しかける有名な巡礼地です。よく、「湘南の海岸は汚い」などと言われますが、これは都民の勝手な言いがかりですので自重しましょう。そもそも、湘南海岸は都民が観光地気分で訪れて良いような場所ではないのです。この砂浜は横浜県人にとっては聖地なのですから。

 というのも、横浜県人たちは猫を神聖視しており、湘南海岸は丸々全てが猫のために用意された猫トイレなのです。ですから、ここには糞尿が溢れていて当然であり、「汚い」などと言うのは、彼ら横浜県人の宗教観を顧みない暴言でしかありません。海水ももちろん汚いですが、江ノ島という聖地を巡礼する前にはここでの沐浴は欠かせません。現地住民以外が沐浴をするとお腹を壊すこともありますが、信仰のための必要経費と割り切りましょう。また、横浜県人たちがここで水葬をすることもあるため、時折、死体が流れてきますが驚いてはいけません。これは横浜の宗教では当然のことなのです。

 地理的に近いこともあり、横浜県人の猫神信仰は東京都民にも一部浸透しており、都民の信者は夏になると大挙して湘南海岸へと訪れ、汚い海で沐浴します。そういった巡礼者のために、横浜県人は「海の家」と呼ばれる巡礼者支援施設を作っており、そこでは巡礼者に対しラーメンなどが振舞われます。このラーメンは地元信者たちの好意によるものです。プロではない素人の作った家庭料理ですから、決して美味しいものではありませんし、麺が伸びていることもあるでしょう。ですが、これは彼らの好意なのですから、ありがたく受け取るべきです。こういった家庭的ラーメンを「家系ラーメン」と言います。


(上:荒行に励む横浜県人)
 なお、夏場の湘南海岸には、不思議な音楽が流れていることがあります。これは「サザン」「チュウブ」などと呼ばれる横浜県独特の宗教音楽です。横浜の宗教家たちは、海の上に板を浮かべ、その上で座禅を組みながら猫神への祈りを捧げる、「ナミノリ」と呼ばれる儀式を行います。人並み外れたバランス感覚を要求される都民には到底真似のできない荒行ですが、横浜県人たちは子供の頃からこの行を修めています。

 彼らは仲間に合うと、「今日はいい波だ」という独特の挨拶をします。これはインディアンが「死ぬにはいい日だ」と言うのと似たニュアンスであり、一期一会の精神を表しています。



  【グルメ】

 横浜県の主食は、「シウマイ」と呼ばれる良く分からない団子のような食べ物です。中国人もアメリカ人も、この「シウマイ」を食べています。中国人の結婚式などでは、ケーキの代わりにパティシエが甘く味付けをしたシウマイを綺麗に盛り付けて提供します。

 横浜県人たちも昔はシウマイを主食としていましたが、江ノ島へ追いやられてからは漁業も振るわず、シウマイを食べる程の余裕はありません。僅かに取れる魚も、成魚は全て神の化身たる猫に捧げているため、彼らが食べられるのは「シラス」と呼ばれる稚魚のみです。横浜県人たちはこのプランクトンの如き稚魚を食べて、なんとか日々を食いつないでいます。

(上:シウマイを運ぶパティシエール)


  【イベント】

 横浜県で最も有名なイベントが、アメリカ人たちによる「Iron Penis Festival」という祭りです。これは日本では「歌麿フェスティバル」「かなまら祭り」などとも呼ばれるアメリカ流の結婚式の一種です。

 アメリカ人たちは巨大な張り型を用意し、まず新郎がそれにまたがって己の一物の大きさをアピールします。次に新婦が張り型を嬉しそうに撫でて自身の性欲の強さをアピールし、夫婦円満を神に祈願します。最後は張り型を抱え上げて、「デッカイマラ! デッカイマラ!」と叫びながらキスを交わし、出席者は二人に米粒を投げつけます。

(上:新郎) (上:新婦とそのお友達)


  【今後の課題】

 東京都は都民に対し信仰の自由を保障していますし、他県の信仰に干渉する気もありません(滋賀県など一部例外は除きます)。そのため、横浜県人の猫神信仰を非難することなどありませんし、都民の入信や巡礼も現在のところ犯罪ではありません。

 しかし、それよりも問題なのは、東京都の目と鼻の先で、アメリカと中国という二大国家が領地争いをしていることです。現在は小康状態にあるものの両者の対立の根は深く、昨今、アメリカは中国勢力に対し、新たに原子力空母の導入を決定したそうです。

 両者の争いによる惨禍を懸念し、東京都は既にデタントに乗り出しています。そのための政策の一つが「TVK」の設立です。TVKとは横浜のローカルチャンネルで、アニメ専門の放送局です。アメリカ人は日本のアニメが無条件で大好きで、また、中華街の中国人はアニメ製作が大の得意です。そのため、東京都がアニメを発注し、中国人がアニメを作り、アメリカ人がアニメを消費するという関係が成り立ち、これにより両者の相互理解を促進しています。この政策は現在のところ、まずまず上手くいっているようです。

 また、普段は温和な横浜県人ですが、独自宗教を基盤とした連帯感は強く、何かの弾みで宗教的な一斉蜂起に出る可能性があります。彼らは「いざ鎌倉」を合言葉に有事の際の連帯を強調しており、東京都としても彼らの強すぎる仲間意識が若干の懸念材料ではあります。そのため、東京都はしばしば「仏像の改修」を名目に彼らから鉄製武器を徴収しています。横浜県人からは、「なぜ犯罪者の巣窟を改修する必要があるのだ」との非難も上がっていますが、今のところこの政策は彼らの暴動抑止に一役買っているようです。


【観光難易度 ★☆☆☆☆

PR:シウマイストラップ




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